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コラム

グランドセイコーの資産価値と機械式時計への再挑戦の歴史

2023.08.05

グランドセイコーはセイコー社の高級ブランドであり、ケースもムーブメントも最高のモデルを目指して作られてきました。完全なる住み分けを狙い2017年には独立ブランドになり、さらに時計作りの方向性を絞り世界で活躍するブランディングに舵を切ったことは記憶に新しい出来事です。海外の時計ブランドがそうであるように、資産価値を持った時計ブランドとして飛躍をしてゆきます。

精工舎の歴史から始まる新しい挑戦

グランドセイコーを語る上では精工舎の歴史は避けて通れません。偉大なる創業者の理念と技術に対する技術者たちの飽くなき挑戦が、ブランドの持つ価値そのものだからです。現在はホールディングス化されてセイコー社に改名しましたが、進取であることや挑戦をすること、何よりも品質にこだわって良いものを提供してゆく気持ちは創業時から変わりません。
技術水準を高め高価だった時計を一般ユーザーが購入出来るようにしたことや、セイコーファイブのような画期的な製品を世界中で製作出来るようにしたことなど、世界的に見ても功績は数知れません。特筆すべきはやはりクォーツの小型化に貢献したことですが、この出来事は諸刃の剣として自社と機械式時計業界へ与えた影響が少なくないのです。功罪という言葉がありますが、進化の方向性として功利だけではなく、一時的とはいえマニュファクチュールメーカーの業績を下降線へと導きました。
自社の高い機械式ムーブメントの製造技術も散逸させてしまい、復活に及ぶ90年代には大変な労苦があったことも認めております。現在の時計は時を告げるだけではなく、趣味性や内部機構のメカニカルな挑戦もその価値観に内包しているのです。スイスやドイツの機械式時計メーカーのレベルの高さ、クラフトマンシップに匹敵するために、日本の加工技術の高さを武器に機械式時計業界に再参入して現在ではグランドセイコーというレーベル名で、一定以上の成功を獲得しました。
更なる高みを目指して2017年にはグランドセイコー部門の独立を宣言し、日本初の高級マニュファクチュールメーカーとして強く歩み始めたのです。すでにグランドセイコーの歴史は、再出発から数えても30年以上の歳月が流れております。今後の活躍は日本だけではなく、世界中から注目されて目が離せない状態です。
サイは振られました。後はセイコースピリッツを活用しながら、スイスやドイツの物真似ではない機構を生み出してゆかなければなりません。峻厳な決意と共に始まったグランドセイコーの歩みは、これから続いてゆく険しくも歩みがいのある道程へと続くのです。

グランドセイコーの新作スプリングドライブSLGA009

グランドセイコーはメカニカルウォッチとクォーツの技術からハイブリッド化して、新しい基軸の動力を開発しました。名門諏訪精工舎の若手技術者である赤羽好和氏が開発に着手し、コンセプトは機械式時計のメカニカルな美しさと、クォーツ時計に匹敵する精度を兼ね備えた全く新しいキャリバーが目標になったのです。
動力源はゼンマイ仕様で、伝達には歯車を使います。針を制御する調速機構などが水晶やICで代替されており、機械式のメカニズムの中にクォーツの精度を織り込んだのです。テンプという衝撃に弱い部品がないために、精度が狂いにくく薄型の設計などを将来的に出来るような目算もありました。
メリットとしてはスイープ運針という、流れるような秒針の動きを再現出来るようになることです。機械式時計のユニットながら、制御をクォーツに置き換えているために月差15秒のハイスペックな精度を誇ります。クォーツモデルよりもトルクが強く、針の装飾性が増すことでデザインの幅が広がる効果があるのです。理論的には第三のエンジンとして、時計業界を牽引してゆけるだけのメリットがあります。しかし実際にはとくに初期モデルは、難関の連続で電子とアナログの調和が上手くいかずに故障率が高いなどの問題もありました。熟成して安定してきたのは、黎明期から数年が過ぎた頃です。現在は高い技術力と長年のノウハウにより、スプリングドライブの完成度は高くなりました。
SLGA009は日本発の美にこだわり製作されたモデルであり、通称白樺というネーミングで呼ばれております。エボリューション9のグループに所属するコレクションであり、自社の雫石高級時計工房周囲にある自然の豊かさをモチーフにしました。ダイヤルには幾何学的な木目を作り、伝統の44GSモデルのスタイルを受け継いでおります。
圧巻の新世代キャリバースプリングドライブCal.9SA2を搭載し、高い振動数と約120時間のパワーリザーブに対応していることが特徴です。グランドセイコーマスターショップのみで展開の専用モデルとして、小売価格は約100万円になります。

朝霧という名のスプリングドライブ

時計の進化の歴史は機械式からクォーツになり、さらに電子化が進み現在は電波時計や通信回線との連携による制御になっております。部品の小型化により時計だけではなく、計測器や通信機としての役割を持ち、通話や音楽プレイヤーとしても使うことが出来るのです。
GPSと地図アプリを連携させることで、ナビゲーション機能も使えるようになりました。以前は等高線などを活用して、登山の補助に使えるレベルでしたが、現在のモデルはモバイル機器のGPSと同等の機能を有しております。時計はすでに時計だけではなく、マルチモバイルデバイスまで進化しました。
現在の時計ブランドの役割は、2つの道に分岐しています。趣味性の高い資産価値の強いモデルを開発してゆくか、前述したようにデジタル分野との親和性を高めてゆくことです。グランドセイコーは前者の道を選択しました。ただし機械式時計ではなく、独自技術を採用したスプリングドライブモデルを発展させ、全く新しい道を開拓することが精工舎から続くスピリッツになっております。
SBGE285スプリングドライブGMTは、朝霧の別名で呼ばれるモデルです。エボリューション9に属しウォッチズ・アンド・ワンダーズジュネーブ2022年で、ニューフェイスとして発表されました。SBGE285の開発コンセプトは信州の山の自然であり、諏訪湖をイメージする幻想的な朝霧が表現されたデザインになっております。信州時の匠工房から見える景色、SBGE285はデザインソースをその情景から膨らませて出来上がっております。
インデックスや針はスプリングドライブ特有の力強さがあり、ダイヤモンドポリッシュで磨き込むことで透明感を実現しました。Cal.9R66を搭載し、約72時間のパワーリザーブを発揮しています。直径41ミリサイズで、ブライトチタンケースを採用し軽く軽快な時計に仕上がっております。この存在感からマーケットは国内だけではなく、海外でも通用するためのスペックを搭載しているのです。フェイスの大型化は海外ブランドと渡り合うためには、避けては通れない道になります。

スプリングドライブが生んだクロノグラフ

クロノグラフは複雑な機構を内部に持ち、存在感が強い代わりに重厚な仕上がりになります。部品点数の多さからケースは厚みがある大型サイズで、価格帯も上昇することが特徴です。海外ブランドではクロノグラフモデルをスポーツモデルのフラッグシップに設定し、技術の粋を集めて生産が行われております。
機械式の時計でもこのクロノグラフの製作は困難を極めておりますが、内部ムーブメントがより複雑なスプリングドライブは、より生産にハードルが高く立ち塞がりますが技術力への挑戦であり、企業としての見せ場でもあるのです。
GMTSBGC249モデルはクロノグラフ15周年記念の限定モデルであり、世界限定で製造本数は700本になります。月差10秒の高性能キャリバーGMTムーブメントCal.9R86を採用し、高性能を追求したことが特筆すべきポイントです。
美しいブルーのダイヤルはグランドセイコーブルーと呼ばれるカラーで、美しい夜空や深海の深淵のような未知の色になります。時を司るクロノスの宇宙の瞬きがテーマになっており、ラグジュアリーでありながら幻想性も兼ね備えているのが特徴です。直径は45.3センチを誇り、海外のダイバーズウォッチやクロノグラフと渡り合える存在感を持っております。
ケース素材はブライトチタンを採用し、クロノグラフの重さを少しでも軽量化させながら、厚みを抑えて堅牢性を両立させる狙いがあるのです。パワーリザーブは約72時間と、実用性を持っております。世界限定700本の内で国内では300本を販売し、400本は海外での販売になるのです。これからグランドセイコーが海外へ進出してゆくためには、こうしたフラッグシップモデルで存在感を発揮出来ることが試金石になってゆきます。
グランドセイコーは2010年に海外への本格的な市場拡大を行い、スプリングドライブを筆頭に数々の製品を送り出しているのです。日本を代表する高級マニュファクチュールブランドとして、グランドセイコーでしか作れないスプリングドライブは高い評価を受けております。

スプリングドライブのクロノグラフ通常ラインアップ

GMTSBGC249モデルはクロノグラフ15周年記念の限定モデルです。SBGC251はダイヤルとベゼルをブラックにした通常モデルであり、同一のクロノグラフですがキャリバーをCal.9R86に変更しております。平均月差が約15秒で、パワーリザーブは約72時間になっているのがこのモデルのスペックです。世代的には一つ前のモデルになり、安定感のある実力を兼ね備えております。
定価は132万円となり、特別モデルのGMTSBGC249よりも約9万円安いところがポイントです。ブルーダイヤルとベゼルにこだわらず、ムーブメントが一世代前でいいのならば十分にお買い得なフラッグシップモデルになります。
スプリングドライブの黒潮は、5DAYSドライブを搭載した120時間タイプのパワーリザーブが特徴的です。200メートル防水機能を持っており、水辺でのアクティビティにも対応してくれます。海外ではこうしたアウトドアに対応したメカニカルウォッチが人気であり、グランドセイコーの挑戦としてスイスやドイツのブランドの牙城に切り込んだ開発結果がこの黒潮SLGA015モデルなのです。
従来モデルよりもスペックアップしており、完成度のランクが上がりました。ダイナミックな文字盤のデザインと、スプリングドライブの強いトルクを活用した力強さあふれる針は、日本海の荒々しさを表現しております。特徴的なブラックベゼルには波模様が刻まれており、日本海に流れる黒潮が表現されているのです。針のデザインとのコントラストや、ベゼルのデザインもクールでお洒落なダイバーズウォッチになります。
このモデルはマリン系モデルとして独自発展させて、海外ブランドへ対抗出来るようになるかが勝負の分かれ道です。製品作りには定評があっても、顧客ニーズへのアプローチ作りが得意ではないと言われておりました。これからはその時計を購入すると、どんな日常や非日常が生まれるのかもデザインしてゆかなければなりません。そのためのダイバーズウォッチであることが、時計ブランドとして海外で受け入れられる鍵なのです。

グランドセイコーのスペシャルモデル

グランドセイコーが心血と技術の粋を集めて作った、コンスタントフォース・トゥールビヨンです。モデル名は鼓動であり、ロットナンバーはSLGT003になります。グランドセイコー初のメカニカルコンプリケーションウォッチであり、機能的でありながら極限まで機能美を追求した時計です。現在のグランドセイコーの立ち位置と、これからの未来を占う上では外すことの出来ないモデルとなっております。
搭載される複雑機構はトゥールビヨンとコンスタントフォースであり、コンセプト名である鼓動にあやかり音にこだわって開発されました。複雑精妙なムーブメントはこの時計の持つ果てしない夢を、リズミカルな機構によってアピールしております。コンセプトモデルなのでシースルー構造になっており、決して派手さを売りにするブランドではありませんが技術的なアピールと宣伝効果は必要にして十分です。
機構の精妙さだけではなく各パーツの技巧的な美しさも魅力的であり、宝飾時計とは異なる価値軸を持つアーティスティックな時計になります。ケース素材にはブリリアントハードチタンを採用し、プラチナ950を構成の一部にしている素材的にも妥協のない一品です。グランドセイコーが持つ高い技術に定評があるザラツ研磨による鏡面仕上げ、立体構造の陰影と43.8ミリのケースの中で絶えず駆動するメカの動きには、思わず見とれてしまいます。このスペシャルなモデルは価格帯も特別製であり、4千400万円のハイプライスは過去に作られたグランドセイコーの中でも最高峰です。世界限定20本ですが、完売間違いありません。この高い技術力をマスターピースにして、これからのグランドセイコーの活躍にますます目が離せなくなります。
グランドセイコーは本気でブランディングを行い、日本から飛び出して海外を主戦場にしようとしているのが独立宣言からの企業姿勢です。需要を開拓しながら技術力でアピールし、ブランディングを行えるのかが勝負の分かれ道になります。デザインやストーリー作りなど、目指す方向性を明確にして、使うシーンを提供出来ることも必要です。今後大きな資産価値を生むことは十分にあり得る可能性を持ったブランドがグランドセイコーなのです。

まとめ

JPメタルではグランドセイコーの買取を強化しております。

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